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『交響曲第1番《2020》』(ニイマルニイマル)吹奏楽版

共同委嘱について

鹿野草平

このコロナ禍を描いた、『交響曲第1番《2020》』(吹奏楽版・管弦楽版)を作曲しています。

 

COVID-19のために、世界中の多くの人が亡くなっています。

日本では欧米のような大量死は免れているものの、2020年だけでおよそ3500人近くの人が亡くなった他、感染対策の副作用により、多くの人が失業し、様々な人がそれまでの営みを破棄せざるをえなくなっています。そして経済的困窮や絶望により、自死を選ぶ人も日に日に増しており、この方々もまたコロナ禍の犠牲者と言うべきだと思います。

 

音楽の分野においても、舞台上の人数制限や、観客動員の制限があり、

存分に音楽を行えない状況です。

演奏会やコンクールの中止も後を絶ちません。

 

私自身、春からの緊急事態宣言により私は2つの初演の機会が延期に追い込まれました。

依頼もなくなり、私は社会から自分が「不要不急の存在」だと否定された心地がしました。

 

コロナ禍への不安と作曲家としての無力感から一度は鬱状態になり、一切の音楽活動を放棄してしまいました。

 

5月下旬、私はショスタコーヴィチの『交響曲第7番《レニングラード》』の文献を紐解きました。

国難に際し作曲家が成すべきこと、自分が成すべき事が重ね合わされている気がしたからです。

​『交響曲第7番《レニングラード》』は1942年に完成した交響曲で、第2次世界大戦の戦禍を描いた作品です。

ショスタコーヴィチは独ソ戦時下、政府からの疎開勧告を断り、包囲されたレニングラードの中で作曲を進めていました。それは強制疎開を言い渡されるときまで続いたのです。

文献には、包囲下で物資が不足しているにも関わらず、飢えと砲弾の恐怖に晒されながらも、懸命に文化を絶やさぬよう努力したレニングラード市民の姿も描写されていました。

これを読んで私は、勇気を得、塞ぎ込んだ自分への少しの羞恥を感じました。

 

そして、作曲家としての社会での役目を果たすため、自分を奮い立たせるため、そしてコロナに立ち向かう人々を讃え犠牲者への哀悼を捧げるため、この状況を描いた交響曲の制作を決心しました。

 

この交響曲の制作費の確保と、広範な地域で演奏していただくために、このたび、共同委嘱団体を募集いたします。

 

編成は3管吹奏楽版、小編成ダイジェスト版です。

この歴史を音楽で刻み、後世に記憶を残すため、どうかご参加頂きたいと思います。

 

 

※管弦楽版は『よみがえる大地への前奏曲(管弦楽版)』とともに2021年4月24日 レコーディング 動画Live配信予定

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